No. 1570

葛藤の教員生活で見えた
本当に大切にすべきもの

(佐賀県YT/60代女性/高校教諭) 

「この子を何とか良くしたい」。ずっと変わらない、生徒に向き合う私の心です。でも、若い頃は情熱が先行。「それは違う」「それはいけない」。感情のままパンッと言ってしまうので、生徒にパンッと反発されることも多かったのです。 

生徒の「心」に目を向けたら… 

葛藤の中で学んだ神の教え。「一人一人みんなに、違う良さがある」ということが、とても心に響きました。育った環境も、持ち味も、成長のスピードも、それぞれ違う生徒たち。できること、できないことがあって当たり前です。にもかかわらず、一方的に求め過ぎ、言い過ぎていたのかもしれません。生徒を思う気持ちは本物でも、当時の私は、相手の「心」を感じ取ることができていませんでした。 

以来、生徒の心をつかみ、その子に合わせて関われるよう、常に祈願しています。ありがたいことにゆとりが生まれ、「ここで注意すると、プライドが傷つくかな」「みんなの前で言われたら嫌だよね」などと、相手の「心」がよく見えるのです。叱らなければいけないときは極力短く。もう少し伝える必要があるときは、人目につかない廊下で。相手の「心」に配慮しながら接すると、生徒の反応がまるで違います。 

信頼関係を築けるように 

授業中、生徒が別のことをしていたら、注意するのは当然。でも、以前はそれで生徒との関係が悪くなっていました。しかし今は、「次の問題に答えられたら、プラマイゼロにしてあげようか」と明るくフォロー。分かりそうな質問をして、「ちゃんと聞いていれば答えられるでしょ」と言うと、「もうしない」と生徒。信頼関係が生まれ、不思議と慕ってくれるほどです。 

一人一人に合わせていくと、目標も達成度も異なるため、同じように注意できない場面も出てきます。「何で僕だけ? あいつだって」と言う生徒に、「君はイケメンだから言ってみた」などと笑顔でひと言。すると、クラスに明るい雰囲気が広がって、本人も素直に受け止めてくれます。いつしか、「どうして言うことを聞いてくれないんだろう」と思うことがなくなりました。 

愛いっぱいの関わりを 

愛の心で生徒に関わっていくと、どの子も必ず“心のコート”を脱いでくれて、まるで童話の「北風と太陽」のよう。私も、太陽みたいな関わりをしたい。その思いが通じるのか、卒業式にクラス全員が手紙をくれたり、ハグを求められたり。誕生日に、黒板にみんなのメッセージが書いてあったこともありました。生徒たちとの確かな絆を感じる毎日は、本当に仕合せです。 

教育現場のさまざまな問題は、決して人ごとではありません。神の教えを知らなければ、私もきっとつまずいたままだったでしょう。それが今、教師を天職と思え、やりがいを味わっています。心に数々の宝物を頂いている分、生徒たちにもっと愛の心で関わっていこう。そう心に誓っています。 

「運命の力」
 その存在の大きさに気付けた人間は
    必ず出会いを生かす心が芽吹く
出会いに感謝し
   奉仕の思いで関わりを深め
      不偏の愛で触れ合ってゆく
多くの人々(ひと)に愛され
    受け入れられ 求められる存在
ここに
 真の魅力ある人間(ひと)の姿がある

『真実の光・神示 令和5年版』5ページ