No. 1561

苦しかった家族との関わり
掛け替えのない縁が見えて

(福井県HH/60代女性/保育士) 

高齢の母は兄ばかりをかわいがり、その兄は自由奔放過ぎる人。15年ほど前に離婚し、実家に戻った私ですが、そんな2人を受け入れられず、長年「家族」との関わりに悩んできました。さらに、数年前には、離れて暮らす子供たちとの関係まで悪化。特に次男とは、連絡さえ取れなくなってしまったのです。どこにいても、「家族仲良く」なんて、夢のまた夢。心はずっと重いままでした。 

少しずつ通い始めたお互いの心

そうしたある日。勉強会後に仲間と語り合っていると、一人の人の話が心に残りました。彼女の言葉からは、相手を変えようとするのではなく、「思いを受け止める」大切さが伝わってきます。私を案じてくれる気持ちにも励まされ、あらためて自分を振り返ってみたのです。私は、母や兄に対して、「何でそんなことするの?」と感じることが多く、思いに寄り添えていなかったかもしれません。目の前が明るくなったようでした。 

気付いたことや、自分の気持ちを祈願していくと、不思議と心が守られました。母の物忘れにも、焦ったり、いら立ったりしないのです。安心できるようにと、「薬はさっき飲んだから大丈夫だよ」「もう一度トイレ行く?」といった言葉が出てきます。少しずつですが、病を患う兄とも今までにない会話ができました。「万が一の時は、遺骨を神玉園に納めてほしい」。初めて聞く、兄の思いでした。言葉に詰まりながら、「分かった」と返したのです。

切れない家族の縁を実感

何かできることを…そう思い、疎遠になっていた親戚にも連絡。それぞれが駆け付けてくれた数日後、兄は容体が急変し、心の世界に旅立っていきました。あまりにも突然の別れでした。けれど、兄のために何ができるか…。ただそれだけを考えて、動いた時間。みんなで心を重ね、一つになって見送れたのです。 

この最期の時に、真っ先に来てくれたのが次男でした。「もし会えたら何て言おう」。何度も考えていましたが、顔を見ただけで分かり合えるものが。いろいろあっても「家族」。その事実が、深く胸に響きました。 

絶対にないと思っていた日々が

兄が旅立ったあの日、私は次男に伝えました。「離婚して、迷惑も掛けて、いい親じゃなかった。ごめんね」と。「そこまで悪くなかったよ」優しく返してくれた言葉に、心がほぐれていくようでした。 

あれから数カ月。私の心は変わり続けています。子供たちと事あるごとに連絡を取り、時には相談に乗ってもらい…。私の老後のことまで、考えてくれているのです。母も私の作った食事を「おいしいわあ」と食べてくれ、その姿をいとおしく感じます。すぐには気付けなかったけれど、兄も、母も、自分なりの「精いっぱい」で生きていました。それが分かった今、今度は私が、自分から「家族」との縁を深めていく。それを、早くに亡くなった父も、そして兄も、喜んでくれる…と思っています。

ただただ神の教えを学び
  「教え」を通して
    我が「心」を見詰めるのである
 自然と我が「心の動き」安定し
    全ての出会いを
       「悟り」と返す我となる
 我が「家」の会話が深まり 広がり
  我が「家族」の心がつながってゆく

『真実の光・神示 平成22年版』14ページ