大腸がんのステージⅣ。夫の病状を、夫婦で静かに受け止められたのは、神のご守護としか言いようがありません。転移したがんは、丸く固まっていてコロッと摘出。7、8本の点滴につながれながらも、「点滴の花盛りだね」と夫婦で冗談を言えるほど。正直、リハビリは大変でしたが、常に前向きで、心が明るくいられたのです。
夫の病は“家族の問題”。だから、子供たちや身内にも話して、支えてもらいました。そして、医師を信頼し、任せる気持ちになれて、治療や手術に臨めたこと。穏やかな心とともに、「こうすれば大丈夫」という強い気持ちでいられたのも、神の教えを学んでいたからこそです。おかげで夫は順調に回復し、仕事への復帰もかないました。
性格や生き方を見詰め直せて
しかし、今回の出来事は、単なる“夫が命を救われた体験”ではなかったのです。私たち夫婦が変わるための大事なきっかけの一つでした。私が夫に抱いていたのは、「何で」の気持ち。夫婦で同じ仕事場から帰った後、ビールを飲んでくつろぐ夫を横目に、私はせっせと家事。その時の気持ちは「何で私ばっかり!」。本当は気遣ってほしい、「夫に大切にされている」と感じたい。けれど、意地っ張りな私は、素直に頼れず、「こうしてほしいのに…」と一方的に求め、心の中で責めていたと気付いたのです。
それなら、お願いしてみよう。簡単なことでした。「これ、やってほしいんだけれど…」「分かった! 言ってもらわないと、俺分からないから…」。こんなにあっさり!? 会話って大切と思い知りました。
優しく温かい心が持てるように
ある日、夫に頼まれて取った腰袋。あまりの重さに、これを一日中着けて頑張っていたんだ…。家では体を休めてほしいと思いました。それに、家と仕事場の往復の運転をしてくれる夫に、「ありがとう」の一つも言ってなかったのです。申し訳なさと感謝が込み上げたら、夫のくつろぐ姿がほほ笑ましく映り、食事の支度をするのも喜びに変わりました。
また、ある時は、「そんなに怒らなくても…」という夫の言葉に、「私ってきつかったの!?」とハッとしたことも。言葉のきつい母を反面教師にしてきたつもりが、まさか…。我が家に受け継がれている性格に気付けたので、優しい心で、温かい言葉遣いを…と祈願。最近は、夫からきついと言われなくなりました。
夫婦で手本になる生き方を
夫は今、経過観察中。体をいたわりながら、穏やかな日々を送っています。依頼されたクロスの仕事に、丁寧に全力で打ち込む夫の背中を見るたび、「生きていて良かった。この人と結婚できて良かった」と思います。周りからよく言われるようになったのは、「いつも仲がいいね」。中でも最高にうれしかったのが、子供たちからの「お父さんとお母さんのような夫婦になりたい」という言葉です。夫婦でいられる時間を大切に、子供たちに手本と胸を張れる生き方を、もっと見せていきたいです。
家族 縁者に 「心」伝える皆であれ
我が分 立場をわきまえ
縁者のために 心使って生きること
自然と互いの思いが重なり 会話が弾む
その時 手にするものが 奇跡である
心にゆとりが生まれ
生きがいにあふれ
「生きる」喜び味わえる
『真実の光・神示 平成21年版』190ページ(中略あり)