No. 110

文句でいっぱいの心が感謝へと

(千葉県SA/60代女性/主婦)

以前の私の心は、文句と不満だらけでした。短気な夫とは常にぶつかり、いらいらして、「こんな人と結婚しなければ良かった」と思っていました。周りの人に、平気で夫の不満を言っていました。

そんな中で、娘の心は安定するはずもなく、何かと問題を起こし、精神的に不安定なまま結婚。何でも親の私たちに頼ってきました。孫が生まれましたが、言葉の発達が遅く、それも不満でした。しまいには、神にまで不満の心が出ていたと思います。

ある日、腹部に違和感があり、検査の結果、膵臓がんと分かりました。出血多量の恐れがあるため、手術は難しいとの診断に、絶望感でいっぱいでした。

初めて自分の心と真剣に向き合うと、これまで教えを学んでも、頭だけの理解だったと気付きました。そして、病を引き込む生き方をしていた自分を変えようと決めたのです。

支えてくれる家族に感謝が湧いてきました。夫が涙をこぼしながら、「治療を頑張ろう」と励ましてくれ、私も心から「ごめんなさい」と伝えました。娘夫婦が心配して、「自分たちのことは自分たちで頑張る」と言ってくれたことも心強かったです。

医師から「抗がん剤治療をしましょう」と言われた時、以前の私なら「抗がん剤しかできない」と文句しか出ない心だったと思います。それが、「薬が飲める。医師がこんなに考えてくださった」と感じたのです。

大げさではなく、命を頂いている間に、少しでも自分の欠点に気付き、修正していこうと思います。痛みはあっても食事が取れること、家族や身内が支えてくれることに感謝です。心が穏やかで、前向きでいられる毎日が不思議でなりません。