(福岡県SH/60代女性/会社員)
息子は、弁護士を目指して勉強していましたが、果たせないまま挫折。それから10年近くバイト生活で、時に引きこもることもありました。
親としては、「弁護士にはなれずとも、勉強したことを生かせる仕事に就いてほしい」と願ってきました。しかし、面接に行くたびに「あの会社は嫌」と言うので、「もっとしっかりして」と悩み続けていたのです。親子の会話はほとんど成立せず、ほぼ平行線でした。
勉強会でも、書籍でも学びを重ね、自宅学習を日課にしました。するとある日、気付いたのです。「『私は息子の話を聞いている』『息子が返事してくれないだけ』と思っていたけれど、息子が返事する前に、自分が答えを予想して、先に口にしていた」「息子は説明が面倒になって、何も話さなくなってしまったのではないか」と…。
息子の返事を根気よく待ち、一つ一つの会話を大切にしました。すると、驚きの変化が…。返事をするようになっただけでなく、自分からいろいろ話すようになり、会話のキャッチボールができるようになったのです。いつの間にか私も、職種にはこだわらず、素直に息子の将来を応援する気持ちになりました。そうするうちに、あれほど定職に就くことを嫌がっていた息子が、自分から面接を受け、正社員になったのです。
現在は、一人暮らしをしながら日々仕事を頑張っています。自分の足で歩みだした息子が誇らしく、今が一番仕合せです。