No. 417

「全て一人でやる」から
「お願い」が言える自分に
(群馬県HS/40代女性/保育士)

「お願い、手伝って」このひと言が言えずに、今まで苦労しました。

夫が手伝ってくれない原因は?

私は、何でも自分でやらないと気が済まない性格です。しかし、夫には、「家のことを何もしてくれない」と、顔を見れば文句ばかり…。イライラする心を神に訴える日々でした。

それでも、教えを学び続けるうちに、気持ちを修正できました。「家事も子育ても、いつも私だけ」という不満の心が変わり、視野が広がりました。夫は、家事を頼めば、何の抵抗もなく、二つ返事で引き受けてくれます。一生懸命に家事をする姿に、夫なりの優しさを感じるようになったのです。「やってくれない夫」と思い込み、家のことも、子供のことも、全て奪って「させていなかった自分」に気が付きました。

見えていなかった家族の笑顔

それからは、3人の娘のことも、事あるごとに夫に相談するように。学校生活や進路のことなど、日頃思っていることを話しました。「焦らなくても大丈夫」「何かのときは、一緒に動くよ」という夫の言葉に、夫婦の会話はこういうものかと実感したのです。

ある晩、私が仕事から帰り、疲れて横になっていると、夫と娘の話し声が聞こえました。夕飯をどちらが作るか決めている様子。「きょうはどうする?」「あしたテストがあって勉強したいから、パパお願い」「分かったよ」と、やりとりをしています。思春期でも、父と娘の距離ができず、親子の縁が深まっているのを感じて胸が温かくなりました。

私はそのまま、夕食も食べずに寝てしまったようで、二人の大笑いする声で目が覚めました。時計を確認するとかなりの時間。「こんなに夜更かしして…」と一瞬よぎったものの、楽しく話をしている様子がうれしくて、全く気にならなくなりました。

こうして、見えなかった家族の笑顔が見え、聞こえなかった笑い声が聞こえる自分になれました。

周りを頼ると、頼られるように

思えば、以前は仕事場でも、「全部自分でやる」という意識でした。無理をしてでも自分でやらないと、私の価値がなくなってしまうと思っていたのです。

それが、「一人でできることは少ない」と思えてからは、「一緒にお願いします」と人を頼れるようになり、とても心が楽です。そればかりか、周りを頼っていくと、相手からも頼られるようになりました。価値がなくなるどころか、信頼される心地よさ。「お願い、手伝って」のひと言で、人生が大きく変わりました。

心にゆとりが出てきて、そんなに得意ではなかった家事も、「家族のために」と楽しんでいます。心が変わり、家庭の空気も、職場の空気も温かくなり、大きな奇跡を味わっています。