私は、デパートの販売員として40年勤めてきました。74歳になっても、健康で働けることに心から感謝していたものの、コロナ禍の影響で、店舗の撤退が決まったのです。「長年勤めてきた仕事を、とうとう辞める時がきたんだ…」と、寂しい思いが込み上げました。
ただ最近は、立ち仕事が体にこたえ、「ここまでさせていただけて、ありがたい」と、悔いなく受け止められたのです。
教えを生かして一人一人を接客
仕事柄、販売実績に気持ちが向いてしまうこともありますが、そういうときこそ、神の教えを意識。どうすれば売れるかより、どうすればお客さまに喜んでもらえるか…。40年、常にお客さまの目線になって、ご本人の要望や実際に着る場面などをよく伺って、その方その方に合う洋服を提供しようと努めてきました。中には、「この前、選んでもらった服がとても好評だった」と、わざわざお礼を言いに来てくださる人もいて、この上ない生きがいを感じます。
長く仕事をしている中で、職場での人間関係に悩むこともありました。しかし、「いつも明るいね」と声を掛けられるほど、笑顔で仕事ができたのは、神の教えを学んでいたからこそ。相手の言葉や態度にのまれずに、穏やかな心でいられたことが、どれほどありがたかったか知れません。
最後の勤務日まで、ますます心を込めて、お客さまに触れていきました。
会社から思いも寄らぬ話が
そうして迎えた最終日。これまでお世話になった感謝の思いで最後の片付けをしていると、売り場の責任者から呼ばれました。何と「新たなショップが入るので、そこを担当してほしい」というお話でした。思いがけない話に驚きながら、「本当に私でよいのでしょうか」と伺っていました。会社は、私の仕事ぶりを評価し、「今までの経験と力を生かしてほしい」と、ありがたいお言葉を下さったのです。
体力面の不安もありましたが、自分のできることで、お役に立たせていただきたい気持ちの方が大きく、お受けしました。 私は、人と触れられる接客の仕事が大好きです。この年齢で声を掛けていただけることに感謝して、精いっぱい頑張っていきたいと思います。