No. 326

何があってものまれない心
神との見えない絆を深める
(福岡県TE/60代女性)

7月の九州豪雨は、それはすさまじい出来事でした。これまで災害とは無縁の人生でしたが、どれほど恵まれていたか、つくづく思い知らされました。

無力な自分にできることは?

その日は激しい雨が降り続き、瞬く間に水が玄関に押し寄せてきました。このまま降り止まなかったら…と思うと、言い表せないほどの恐怖と不安に襲われました。自然の猛威を前に、何もできない自分…。人間の弱さ、無力さを痛感した瞬間でした。

人間にはどうにもできないこの状況こそ、神と共に乗り越えようと思い、心を落ち着かせられるように、必死に神に願いました。おかげで、少しずつ冷静さを取り戻し、「今、やるべきことは命を守ること。家族で声を掛け合い、支え合うこと」と、気持ちを切り替えられたのです。

自宅には夫がいましたが、以前に負傷した圧迫骨折で自力では動けません。体を支え、「大丈夫? 痛いよね。もう少しだから頑張ろうね!」と励まし、やっとの思いで2階へ避難しました。食料や貴重品、布団も、無我夢中で持って上がりました。

その後も水の勢いは収まらず、自営の店はあっという間にのみ込まれてしまいました。あまりのことにあぜんとしていたその時、教会から安否を気遣うメルマガが届き、どれほど救われたか…。「神は、必ず心をお守りくださる」という安心感が胸に広がっていくのを感じました。

どうにもならないはずの心が…

被害はあっても、命が守られたことに心から感謝しています。車も水没し、しばらく不便な生活でしたが、ありがたいことに代車を借りられました。少し古く、ガタガタしますが、車をなでながら、「あなたと出会えたのもご縁。一緒に頑張ろうね」と声を掛け、大切に使っています。

自分ではどうにもならない心を、神の力で守っていただける。これがどれほどありがたいことか、身に染みて感じる毎日です。まだ完全復興とはいえませんが、家族と一緒なら乗り越えられると確信しています。人生最悪の状況でも、心明るく、前向きでいられることが、私にとって大奇跡です。