No. 297

不安から始まった新生活
親子の絆を深める好機に
(岩手県MH/60代女性/パート)

息子の転勤で、親子二人で岩手に引っ越しました。ところが転居後、息子が「仕事を辞めたい」と言い出したのです。この先どうなるのだろう…という思いが先に立ち、話を聞くたびに不安になりました。

親思いの息子の優しさに感動

神の教えを学び直すと、「親の私が揺れていては、息子が迷ってしまう」と気付きました。そして、強い心を持ちたいと神に訴えるうちに、自分も若い頃、仕事で悩んだことを思い出したのです。いろいろな思いを抱えながら、息子が頑張ってくれていたことをようやく感じ取れた瞬間でした。

今回の転勤では、慣れない地で頑張ってくれていること。そもそも東京で働いていた息子が、一人暮らしの私のために退職して帰ってきてくれたこと。そうした息子の優しさが分かった時、感謝の足りなかった自分が見えました。

相手を気遣う愛が愛を呼ぶ

以来、元気がないと感じると明るく声を掛け、疲れて帰宅したときは、「きょうも大変だったね」「いつもありがとう」と気持ちを伝えました。そのうちに、時に仕事の話を聞いても、穏やかな気持ちで受け止められるようになりました。

すると、息子も私を気遣ってくれるのです。私の出勤時には、「気を付けてな」「きょうは遅くなるから、早く休めよ」などと見送ってくれます。洗濯物や食器洗いなども、気が付くとやっておいてくれ、心が温かくなります。「息子はもう大人だから」と、何となく距離を保っていた私です。しかし、黙っていては、気持ちが通じることはない。愛をかけ合うから、心が安心感に包まれ、魂までもが安らぐ家庭の雰囲気になるのだと体感しました。

ある時、息子が「いろいろ仕事の愚痴を言ったけど、辞めなくてよかった」と言い、親子で笑い合いました。不安から始まった新生活が、今、充実した日々へと変わっています。