どんな出会いも生かせる「運命の力」
(若林直子さん/50代女性/看護師・介護支援専門員)

私は、グループホームで認知症の方のケアやみとりを行っています。4月に緊急事態宣言が出され、施設は面会禁止になりました。高齢者は、持病のある方がほとんどで、抵抗力も弱いので、ウイルスが施設に入り込めば、クラスターが起こり、多くの方が死に直結する危機となります。職員が感染源になる可能性もあるため、日常生活にまで細心の注意を払うようになりました。

「会えないつらさ」に寄り添って

管理者でもある私が不安でいると、周りにも伝わってしまいます。毎朝、教会図書を読み、心に入ってきた教えを生かせるように神に願っています。「相手を受け止める心を意識して、愛ある言葉、元気が出る言葉を掛けられますように」「冷静な判断ができますように」など、事有るごとの祈願も欠かせません。

ご家族へは、面会自粛への協力をお願いする対応に追われました。いつでも会えていたのが、このような状況になり、ご家族は動揺していました。中には、「母は90歳を超えているので、特別に会わせてほしい」と言う方もいました。私自身も揺れる心を祈願し、皆さんのつらい思いに共感しつつ、状況を理解していただくことに努めました。そして、利用者さまの写真をアルバムにして送ったり、ビデオ面会を試みたり、職員同士で得意分野を生かして、ご家族に安心していただけるように取り組んだのです。

やがて、お礼の手紙や、ご家族にとっても貴重であろうマスクなどが届くようになり、職員みんなの大きな喜びになりました。施設はいつも笑い声に包まれていて、ウイルスへの何よりの抵抗力と思います。

どんな状況でも、祈願することで、冷静さを取り戻せて、ゆとりある言葉掛けや介護ができます。自分の心が変わり、相手や状況まで変わっていく…。大きな神のご守護を感じます。

事業所の壁を越えて深まるつながり

事業所は、営利を目的として経営しているため、他の事業所は競争相手です。でも、私は、どの施設の利用者さまも安心して生活できること、そのためにも、職員が生き生きと仕事できることが大切と考えています。ですから、事業所同士の壁を越えて情報交換をしたり、研修会をしたり、空室がある他の事業所に利用者さまをご紹介したりしています。経営には不必要なことかもしれませんが、神の教えを軸に、祈願しながら進めていけば、そこから人と人との調和が図れると感じています。

先日、別の事業所の管理者の方が、「コロナで気がめいってしんどかった時、電話で若林さんの声に本当に救われた」と話してくださいました。「若林さんが言った『お互いに頑張りましょう』の、『お互いに』という言葉で、『私は一人じゃない。一緒に乗り越えていこう』と、頑張る意欲が出てきたんです」と言ってくださったのです。神の教えを生かすことは、大きな影響力を持っているのだと思いました。

神の教えで何事も好転の連鎖に!

今、介護の仕事でも制限が増え、これまで当たり前に「できていた」ことが「できなくなる」事態に直面しています。その中でも、自分の立場でできることを探して実行。すると、全ての物事が不思議と丸く収まっていくのです。気が付くと、「ありがとう」「若林さんにお願いしてよかった」と、次から次へと喜びが返ってくる毎日です。

祈願祭の神示にも、「日々の出会いを大切に『生きる』者は皆、神の手の中、『運命の力』が引き出され、時代の流れに乗って、『生きがい』多い人生を歩んでゆける」とありました。出会った方との縁を大切に、できることを惜しみなく実践すれば、自分の良さが発揮され、負の出来事も好転の連鎖になる。神の教えの素晴らしさを、身をもって味わっています。