神の教えで広がった心の幅
(幡 直孝さん/60代男性/薬学博士)

私は、製薬に関する会社で医薬品の品質の研究をしています。

薬は、一度開発して終わりではありません。製造工場が変われば品質が落ちることもあり、世界の基準や厚労省の規定、製薬会社の手順に沿って、品質を確保することが求められます。私の仕事は、医薬品の品質保証を考えること。モデル手順の作成、製造や試験部門で働く人に向けた教科書作りなどに、チームで携わっています。

みんなで「3番目の考え」を生み出す

「3番目の考えを取り入れる」。私は、いつもこの信念を持って行動しています。自分の考えだけで動かず、周りに伝えて意見を聞く。神の教えが、私の心の幅を広げてくれました。相手に温かい関心を持つ、話をよく聞く、人の心を傷つけない…。教えを基にした行動を取れば、自然とお互いの考えが重なっていき、「3番目の考え」が生まれます。それが、ひいては結果を良くすると思うのです。仕事だけでなく、家庭でも同じと感じます。夫婦で話していると、思わぬ問題解決の糸口が見えてきて、そんなことにも感謝です。

科学技術は日々発展するため、モデル手順の改定は必須です。私は、「新たな考えを盛り込んで、より良いものにしたい」と考えますが、「従来の内容を変えたくない」という意見もあります。そんなときこそ、一つ一つの考えに耳を傾け、「人々の健康に貢献できるか」「自分自身がこだわり過ぎていないか」「到底できない提案ではないか」などと多角的に検討し、皆さんと最善の「3番目の考え」を生み出せるように努力しています。

中には、「この分野は自分の専門だから口を挟まないでほしい」と言われる方もいますが、全体を考えると議論すべき問題も出てきます。それを相手の気持ちを傷つけずに告げるのは非常に難しく、正直なところ憂鬱です。一つ一つ神に祈願し、心の動きを守っていただきつつ、「良い薬を世に出す」という使命感とともに、言葉を選んで伝えています。一筋縄ではいかないことも多いですが、何カ月もかけて相手に向き合っていく中で、思いがけない助け舟が出て、全員が納得する形でまとまった…という、まさに神業のような出来事もありました。

一人一人が大活躍できるように

それぞれが専門性の高い仕事をしているからこそ、そこを「良さ」として存分に発揮できるように関わっています。それが、チームのまとめ役である私の任と思うからです。仕事一つも単純に振り分けずに、「頼りにしていますよ」などと、相手に合わせた声掛けを心掛けています。そうすることで、チームの中で孤立しがちな人も、一員として誇りを持って取り組んでくれます。以前は自信のなさげだったのが見る見る成長し、今はリーダーとして立派に活躍している人もいて、本当にうれしい限りです。自分だけでなく、相手の持ち味まで引き出せる…、神の教えの奥深さを感じずにはいられません。

最初は一委員として参加していた製薬協会では、ありがたいことに教育部の会長に推薦していただき、今年で4年になります。会社からは「いつまでも勤めてほしい」と言われていて、セミナーの依頼も途切れません。

セミナーでも、やはり神の教えが考え方の根底にあります。ガイドラインの一つに、「医薬品の高い品質を達成するには、オープンな職場環境が必要」というものがあるのですが、とっつきにくさがあるかと思い、こんなふうに話しました。「まずは家族や身近な人と温かい会話を重ね、それから職場でやっていきましょう」「もし、できていなければ、家族との関わり方から修正することが大切ですね」と。セミナー対象者はその時々で違うので、準備は大変ですが、頼っていただけること、何より皆さんのお役に立ち、喜んでいただけることが私の喜びです。

どんな相手にも「情け」を忘れずに

「人は情けの元に住む」という信念を持って生きてほしい…。私は、かつて供丸姫先生が言われたこのお言葉を、心に留めています。人と人はつながっている。だからこそ、気の合う人だけでなく、どんな相手にも情けを忘れない生き方をしたいです。「心に感じる『愛』が、世界を一つにつなぎ、真に『生きる』喜びが広がってゆく」という神示を胸に、神の教えで「情け深い自分」を目標に、心を磨いてまいります。

※神示は『真実の光・神示 平成24年版』83ページ