社会の価値観が変わる転換点
(天野秀明さん/50代男性/内科・呼吸器内科・アレルギー科医師)

あふれ返る情報に多くの方が翻弄され、のみ込まれている…。私が、日々の診療を通して感じていることです。

ご自身が服用されている薬を、「『危険』と週刊誌に書いてある」と切り抜きを持ってこられる方、「友人からよく効くと聞いた薬に変更してほしい」と希望される方、うわさを頼りに病院を転々とされる方…、数えたら切りがないほどです。結果を急ぎ過ぎるあまり、服用して一日しかたっていないのに、「効果がない」と再診を求める方もいらっしゃいます。「待てない」のも、現代人の特徴かもしれません。

一人一人に安心感を届けるために

私のモットーは、「患者さんに安心感を届けること」。実際、医師を信頼して治療に臨まれる方は、自然と経過も安定するように思います。ですから、「この医者に任せてみようかな」と思っていただけるような関わりに努めています。

患者さんそれぞれに生活環境があり、お立場もあります。たとえ医学的には正論でも、それを振りかざさず、お気持ちに寄り添ったり、時には辛抱強く待ったり…。そうした医療を心掛けています。

それには、私自身が心にゆとりを持てるよう、祈願が欠かせません。すると、普通ならしない検査をふと行おうと心が動き、そこから病気が見つかるなど、この神の偉大さ、不思議さを味わっています。

神示を学べるありがたさを痛感

一昨年の祈願祭の神示の一節を読み返すと、「社会の不安、迷いも、極限を迎えて、いよいよ自然の力が調和の姿へと社会を返してゆく」とありました。昨年の祈願祭の神示にも、「限度を超えんとする今、神の手の中、社会は時代の力を受けて、大きく姿を変えてゆく」とあります。このたびのパンデミック(感染症の世界的大流行)は、神が予言されたプロセスを目の当たりにしているように思えてなりません。

私たち医療従事者も、感染者の診療の最前線に立つ日がついに訪れました。これからどうなるのか、人間には分からずとも、神が先を見通し、神示を表してくださっています。教えを学ぶことで、心を不安に迷わせることなく、冷静に情報を取捨選択し、正しい判断ができます。これがどれほどありがたいか…。神の教えを学ぶ価値は、まさにここにあると実感しています。

今、さまざまな国で新型コロナウイルスの研究やワクチン開発などが急ピッチで進み、患者の受け入れや医療器材の供給が、国境を越えて行われています。「世界中の人々が団結し、協力し、調和へと向かってゆく姿」が見られるのです。パンデミックが、国際社会の価値観を大きく変える転換点となるのかもしれません。私も、医者として、患者さんに信頼していただける医療を提供できるよう、より一層努めてまいります。

ウイルスから身を守ろう!―敵を知り、己を知れば、百戦危うからず―

新型コロナウイルスから身を守るためにできることは何でしょうか? 皆さまに知っていただきたいことをお伝えします。

①ウイルスが細胞にくっつかないようにする

新型コロナウイルスは、私たちの体の細胞の表面にある、特別な標識(ACE2)にくっつきます。たばこを吸う人や、血圧が高い人にはこの標識がたくさん出ています。敵の狙いが分かったら、次は己を知ること。たばこを吸っている方は禁煙し、血圧が高い方はしっかりコントロールすることが大切です。

②ウイルスの設計図が、細胞に送り込まれないようにする

ウイルスが細胞にくっついたとしても、細胞という部屋のドアの前に立ったに過ぎません。ドアを開けるには、プロテアーゼという鍵が必要です。鍵は肺にもありますが、口の中にある細菌も、たくさんの鍵を作り出しています。

歯周病があると、鍵は何倍も作られます。特に歯と歯茎の境目の歯周ポケットや、歯間部に細菌がたくさんいます。ここを意識して歯磨きを繰り返し、清潔を保ちましょう。口の中を殺菌する消毒剤を併用すると効果的です。うがいも併せて行ってください。

①3つの密(密閉、密集、密接)を避ける、②小まめな手洗い、③適切なアルコール消毒(※1)、④禁煙、血圧のコントロール、⑤口腔ケア(※2)とうがい。これらの徹底には、かなりの効果が期待できます。

公園や河川敷など、広い場所で散歩や運動したりすることも、健康な心と体を保つためにとても大切です。自分の行動を3つの密に当てはまらないか冷静に考え、判断すれば、「ここまでは大丈夫」というところがおのずと見えてくると思います。

情報に翻弄されず、ウイルスとの戦いに知恵をもって臨みましょう!

※1 手を流水でよく洗浄した上で、アルコール消毒をしましょう(新型コロナウイルスはアルコールで死滅します)。

※2 オーラルクールやコンクールなど、口の中を殺菌する消毒剤を使用すると効果的です。