(千葉偉光会館YI/60代女性)
「祖母が危篤、今夜が峠…」仕事中、そう知らせを受けて、私はすぐに祖母のいる北海道へ向かいました。「何としても感謝を伝えたい」その一心でした。
祖父を早くに亡くした祖母は、女手一つで4人の子供を育て上げた人。温かくて、優しくて、でも一本筋の通った祖母が、私は幼い頃から大好きでした。病院で母と合流し、その晩は付き添えることに。ただ医師からは、「脳梗塞の症状もあり、話し掛けても分からない」と言われました。
心で語り、届けた思い出
深夜の病院、動かない祖母の手を握りながら、私は心の中で、ありったけの思いを語りました。祖母の魂にはちゃんと届く。神が絶対に届けてくださる。その確信が、私の心を支えてくれたのです。祖母お手製のあんころ餅が大好きだったこと。子供扱いせず、ちゃんと話を聞いてくれて、うれしかったこと。そんな祖母をとても尊敬していること。でも、一番伝えたかったのは、「おばあちゃんが頑張ってくれたから、お母さんがいて、私が今ここにいる」ことへの感謝だったかもしれません。
「おばあちゃんのおかげ。“ありがとう”を伝えたくて飛んできたよ」涙ながらにつぶやくと、動くはずのない手がそっと動き、私の手のひらをトントン。合図を送ってくれたのです。そして、ふーっと大きく深呼吸をした祖母は、見る見る全身に血が通い、体中がふっくらとしたようでした。慌てて医師を呼ぶと、「そんなことはあり得ない」「不思議だ」と驚いていました。
翌朝は、連絡を受けたたくさんの身内や、「お世話になった」という方々の姿が。祖母に「みんなのこと分かる?」と聞くと、うなずき、安心しているようでした。私は仕事の都合で、どうしても戻らなくてはなりません。これが会える最後の時。「神が下さった時間」だったと、心のどこかで理解していました。
受け継いだ心をより磨いて
実はこの話は、今から20年以上前のこと。毎週の「神の実在体験談」を読んでいて、当時の思いが鮮やかによみがえり、思わず投稿させていただきました。
苦労が多かった2人ですが、祖父母の「明魂祭」で、次に生まれくる時は、より仕合せな人生になると分かり、安心感でいっぱいです。
大切な家族、縁者を見送ってきて思うのは、人の心を大切に生きた人は、終日には多くの方から「愛」や「感謝」を頂くということです。生ある「今」、「どんな心で生きるか」その重要性を痛感します。私も、神の教えを学び、祖母たちを見習って、自分の人生をより仕合せなものとできるように、愛ある人へと心を磨き続けたいと思います。