○長野県・MMさん(80代女性)
私は、娘と義兄(亡夫の兄)と一緒に暮らしています。義兄は、先天性の障害があり、言葉もうまく話せません。数十年一緒に暮らして、気心は知れていると思っていたものの、このところ、「ウン、ウン」「フー、フー」と声を上げるようになったのです。「また、言ってる。うるさいな」と、いつの間にかイライラ、カリカリが日常的になっていました。
ある朝、雪かきで足を滑らせて転倒し、右手首を骨折しました。日頃、娘から、「80歳なのに働き過ぎ。気を付けてね」と言われても、「動けるのが元気な証拠!」などと返していた私です。「動き過ぎる」性格を、初めて自覚できました。義兄に対しても、「求め過ぎる心」が出て、気遣いが欠けていたことに気付きました。
義兄は、右手が使えない私のためにと、お茶碗(ちゃわん)を洗ってくれます。私が少しでも手伝おうと布巾を持つと、使える左手の袖をまくってくれました。そこで、目と目が合って、にっこり。
義兄のための刻み食作りは、娘に頼みました。「お母さんが頑張ってくれていたのがよく分かったよ」と、慣れない家事にてんてこ舞いです。
できることで支え合うとはこういうことなのかと思えた時、不思議と義兄の「ウン、ウン」「フー、フー」も、ぴたりと聞こえなくなっていました。
御年80歳! 一日一日、家族の存在に感謝が深まっています。