鈴木雄司宮事(すずき・ゆうじ)

両親からもらった宝物

二人とも教会職員だった両親は、生まれてすぐ、私に神示教会の環境を与えてくれました。無理強いされることはなく、自然体で神に手を合わせる父から「祈願しよう」と言われると、「そうしよう」と思いました。そんな私が、自分から神に気持ちを向けたのが19歳の時でした。教会の歴史書である『真実への道 光の足跡』を手に取ったのです。物語風になっていたので興味が湧き、読み終わった時には、人生観が変わっていました。

神の御魂を宿されてお生まれになった供丸姫先生が、文字通りの神そのものの存在となるまでには、壮絶な茨の道があったことを知り、何も知らなくて申し訳なかったと、心から思いました。そして、神直々の使者としての大任を果たされた供丸姫先生が神の世界に戻られたことを知った時には、涙が止まりませんでした。教会史を知らなければ涙が出るはずもなく、「間に合った」というのが正直な気持ちでした。

やがて自分も職員となり、静岡に赴任していた時、父が倒れ、脳神経外科に入院しました。父は、医師や看護師に、いつも「ありがとうございます」と丁寧に感謝を述べ、言葉が出なくなっても、何かしてもらうたびに一生懸命お辞儀をしていました。子供ながらに、「すごい人だな」と思いました。病状が進み、新たな担当医から父の職業のことを尋ねられました。父は、病床にあっても、職員仲間を気に掛け、教会のことを話していたそうで、担当医師の興味を引いたのでしょう。思わず、「大山命神示教会の教務員として、多くの方々のために尽くしてきました」と、胸を張って言い切りました。それが父の人生そのものだと、誇らしい気持ちで、少しだけ親孝行した思いでした。

この世の中は 心を軸に回っている
 大きく 小さく 巡り巡って 親から子へ 人から人へと
    心はつながり 受け継がれてゆく
 心に進歩 発展はない
    あるのは 気付きと悟りが生み出す深まりである

この世の中は 心を軸に回っている
 大きく 小さく 巡り巡って
  親から子へ 人から人へと
   心はつながり 受け継がれてゆく
 心に進歩 発展はない
    あるのは 気付きと悟りが
      生み出す深まりである

『真実の光・神示 平成16年版』13ページ

人は体験から悟る動物ですが、自分の体験や努力の前に、両親の愛や願いによって得られる宝がどの家にもあると思います。私の場合はそれが神示教会の環境でした。ことし、娘を授かった私は、夫婦でどうやって我が子に良いものを残していけるのか、神の教えが方向づけてくれることに手応えを感じています。若い世代の皆さんには、ぜひ自分から手を伸ばして、両親の愛の中にある宝物を拾い上げていただきたいと思います。