[実践ポイント]悪い雰囲気を一変させる

その場の雰囲気をつくるのは、そこにいる人たちです。転んでジュースをこぼした子に、「何やってるの!」と親が感情をあらわにした途端、凍り付く空気。一方、「大丈夫? 新しい物を持ってくるね」という店員のひと言で、子供が笑顔になり、温かい空気が流れることも。不穏な空気が漂っても、様変わりさせることができたなら、自分も、周りの人も、みんなが心地よく過ごせます。そんな魔法を使ってみませんか?

魔法と言っても、特別な技も、訓練も要りません。みんなの気持ちが上向きになるには…、元気になるには…、こうした意識さえ持っていれば、誰もがその場の空気を明るく温かいものへと変えられます。不安定な環境が安定すると、互いの心が晴れやかになって、生きる活力もみなぎってくるのです。

ミスが発覚して、重苦しい雰囲気が漂う職場。その時、「みんなでやれば取り返せる! 精いっぱいやってみよう」とひと声。一気にやる気が湧き上がり、それぞれが持てる力を発揮して失敗を取り戻せたり、絆が深まったり。関わり方一つで、ミスさえも好転のきっかけとできるのです。
「頼まれた物、買い忘れた…」とうなだれる家族に、「えー、信じられない」「またやっちゃったの?」と攻撃すれば、落ち込みムードと険悪ムードが爆上がりしてしまうでしょう。こんなとき、ちょっと立ち止まって、「自分も忘れたことあるし…」「ヘコんでるときに責められるのはきついな」とお互いさまの気持ちになれたら、魔法の準備は万全です。「今から一緒に買いに行こう」「これを代用すればいいね」。戻らない過去にこだわるより、前に進む心が持てれば、どんよりした空気は、5月の風のように爽やかに様変わり。思いやる心も互いに深まります。

周りに影響されやすいのが人の心。裏を返せば、どんなに悪い空気が流れても、コロリと変えられるということです。何を言ったら、どう関わったら、その場の空気が良くなるか。一呼吸置いたり、相手の身になって考えたり。どんなにマイナスな出来事でも、「出会いを生かそう」とする気持ち一つで、心を和ませ、元気にする言葉や態度が出てきます。それこそが、悪い雰囲気を一変させる、誰もが使える“魔法”です。お互いの心がまあるくいられる環境は、何より自分の心を生き生きさせてくれるのです。

奉仕の心で 日々生活すること
 自然と 生きる環境が安定し
      「生きる」力が湧き起こる

(令和6年5月1日 光栄祭『友輪』342号4ページ)