[実践ポイント]「ありがとうスコープ」を装着する

お歳暮や年賀状の準備、大掃除…。あれも、これもとバタバタしがちな12月。そんなときによく出る言葉が「忙しい!」。この感覚には要注意です。「忙」という字は、「心を亡くす」と書くように、自分の中から温かい心、優しい心が消えてしまっているかもしれません。

師走の今こそ、装着したい「ありがとうスコープ」。使い方は簡単! 自分の周りの人や出来事を見詰めて、「ありがとう」を見つけていくだけです。

差し入れしてくれた同僚、笑顔で親切に対応してくれた店員さん…。こうした人たちからは、「ありがとう」が見つけやすいでしょう。一方で、見つけにくい「ありがとう」もあります。「当たり前」と思っていることや、意に沿わないことをしてきた相手。こうしたところに潜む、「隠れありがとう」こそ見つけていきましょう。

そのときに必要なのは、「温かい関心」です。例えば、毎晩遅くまで家事をしている家族に、「疲れがたまっていないかな」。その関心から、「いつもありがとう」の心が生まれてきます。「休日は自分が手伝うよ!」。そんな優しさも出てくるかもしれません。

上司に強く注意されたときも、「なぜそう言われたのだろう?」と温かい関心を向けることができたなら…。心に浮かぶ感情は、「もっと優しく言ってくれればいいのに」という反発ではなく、「自分の成長を願って言ってくれた」という感謝になるのではないでしょうか。

近くを見たり、遠くを見たり…。「ありがとうスコープ」でぐるりと見渡してみると、実際に会ったことはなくても、自分の生活を支えてくれる多くの存在があることに気付けて、自分の周りは「ありがとう」であふれていることが分かるはず。見つけた「ありがとう」は言葉にしていくことで、「自分も、できることでお役に立とう」と、奉仕の心が高まります。さらに、実行することで、愛の心が深まります。そこに、今度は自分が、「ありがとう」「あなたのおかげで」と多くの人から感謝される…、人生のらせん階段を1段上がって、新年を迎えられるのです。

感謝の心(おもい)を届ける相手が
       何人心に映っていようか
神に心預け
  神魂の運命(ちから)を
        受ける信者は
    ますます礼の思いを深めてゆく

令和5年12月1日 愛寿御礼祭(『友輪』340号22ページ)