(横浜市AO/40代女性)
数々の大切な思い出がこもる所。私にとって偉光郷は、そんな御場所です。
祖母の明るい笑顔と生き方が
心に残る一つに、10年ほど前に亡くなった、祖母との会話があります。かつて偉光郷の景色に感嘆の声を上げ、「私もいずれ、ここで眠れるのね」と笑顔を見せてくれた祖母。その明るさは、ホスピスで過ごした晩年も、決して枯れることがなかったです。毎日のように病室を訪れる私とたくさん話し、「私は病気であっても、心まで病んではいません」ときっぱり。その言葉どおり、ピンクの入院着で、おどけながら見送ってくれた姿が忘れられません。
ある時、人生で一番楽しかったことを尋ねると、「いっぱい苦労があったけど、全部乗り越えられたのが楽しかったわ~!」。満面の笑みで教えてくれました。苦労話はあまりせず、私が元気に楽しく過ごす姿を、何よりも喜んでくれる人でした。
互いを知り、縁を育む時間に
それから年月がたち、私も家庭を持つことに。神受祭(結婚)からしばらくたったある時、ふと思い立って義父母を誘い、夫と4人で偉光郷に2泊しました。ゆっくり会話を楽しみ、縁を深めることだけを目的に、のんびりと滞在したのです。三食を共にし、語り合い、トランプで遊び、景色を眺め、散歩をした2日間。義母とは、あじさいを見ながら朝の温泉に漬かるなど、静かでぜいたくな時間を過ごせました。
思えばこのひとときが、夫の両親と「家族」として縁を育む、掛け替えのない礎となりました。タクシーの車中や、食堂での何げない会話など、どの瞬間にも、周りの人の心を大切にしていた義父母。ごく自然と相手を思いやる人柄が伝わってきて、「これが夫の育った家の家風なんだ」と実感したのです。
心の道を受け継ぐ思いを
一人、また一人…と、大切な祖父母を送った後も、結婚、出産…と前に進み続ける私の人生。子育てで落ち込んだりしたときも、祖母との会話や、最後までピシッと伸びていた背筋を思い出すと、心に勇気が湧いてきます。そして、温かく気遣ってくれる夫と一緒に、また頑張ることができるのです。そうした日々の喜びを、神玉里(納骨施設)で語ると、不思議と祖父母たちが安心してくれる感覚が。「また、ここでみんなに会えるわな」。祖父の言葉も浮かんできて、まるで“再集合”しているような、仕合せな気持ちが込み上げます。
これまで、「心の道をつなぐ」とは、壮大なことのように感じていました。けれど、今は、祖父母が残してくれた“生き方”を受け継ぎ、共に生きる家族の“心”を感じ、日々の生活に生かしていくことなのかなと思います。そう考えると、朝目が覚めて、夫とまだ幼い娘に声を掛けるのも、いとおしい瞬間です。年にたった365回のこの機会を大切に、愛情を込めて「おはよう」を伝える毎日です。