[実践ポイント]「どうして」を大事にする

とても忙しい時に仕事を頼まれて、「できません」。おなかの具合が悪い時にお菓子を勧められて、「結構です」。自分にはちゃんと理由があっても、相手に心の中は見えません。「感じが悪い」「私のことが嫌いなのかな」と誤解を招くことも…。そうならないためのコツは何か、一緒に考えてみましょう。 

ある新婚夫婦が、休日デートの予定を話し合った時のこと。夫が行きたいのは「水族館」。妻は「温泉」。意見が割れて、二人ともモヤモヤ。その時、夫がぽろりとひと言、言いました。「君の好きな水族館に連れていってあげたいのに…」。それを聞いた妻は、「最近、あなたが忙しそうだったから、温泉で疲れを癒やしてほしかったの」。お互いが、相手の喜ぶことを考えていたと分かって、二人はにっこり。“どうして”を伝えるだけで、心はこんなにも重なっていくのです。 

会話がギクシャクするとき、意外と伝えていないのが、“どうして”そう考えたのか。「こうしたい」「こうすべき」がたとえ正しい意見でも、どんなに相手を思った考えでも、言葉にしなければ伝わらない。結論だけの会話では、溝が深まるばかりです。 

例えば、食いしん坊の家族に、「それ以上食べちゃダメ!」とだけ言っても、ムッとされたり、聞き流されたり。その時は食べるのをやめても、こっそり食べるかもしれません。そこで、「血圧が高いから心配」「元気で長生きしてほしいから」など、“どうして”を伝えると…。「ダメ!」に詰まった愛情が届きます。「家族のためにも、暴飲暴食は控えよう」となるものです。“どうして”を伝えることを、軽く見てはいけないのです。 

ポイントは、「分からせよう」ではなく、冷静に。「このくらい言わなくても」ではなく、丁寧に。相手を無理やり抑え込んでも、不満が募れば爆発しかねません。理由を伝えるひと言を省いたために、関係に亀裂が生じては大変です! 

また、相手の発言の裏にある「どうして」を知ることも、同じく大事にしていきましょう。 

家族で「教え」を学び
  家族で「実体」を高める努力が大切
この努力が 信者・家族の人生を守り
    悔いなき時代(もの)へと導く

(令和6年11月1日 『友輪』343号16ページ) 

実践は、まず家庭から。夫、妻、親、子供…と、家族間の理解が深まれば、誰とでも、“どうして”を伝え合っていけるはず。お互いの思いを分かり合えるから、自分を取り巻く全ての人間関係がますます滑らかになっていくのです。