[実践ポイント]「心のスキャン」で思いを感じ取る

表面からは見えない体の中も、CTスキャンで検査をすれば、状況が分かります。パソコンも、スキャンすると、見えないウイルスチェックができます。科学の力で、見えないものが見える時代。半面、見えているようで、意外と見えていないのが「心」。それでは、「心を見る」には、どうすればいいのでしょうか。

相手の思いをつかむためにできること。その一番は「会話」。とはいえ、口で言っていることと、本心が一致しているとは限りません。そこで、稼働させたいのが「心のスキャン」機能なのです。

会社で厳しいことを言われた時、落ち込んだり、反発したりするより、まず上司の心をスキャンすると、どうでしょう。「頑張ってほしい」「失敗しないで済むように」「少しでも活躍させてあげたい」など、見えなかった幾つもの思いが感じられるはず。「私のことを思ってくれている」という気持ちで受け止められれば、「教えてくれて、ありがとうございます。精いっぱいやってみます」などと、前向きな受け答えができるでしょう。
調子が悪そうなのに「大丈夫」と言う人にも、ピピッとスキャン。「迷惑を掛けたらいけないと思っているんだな」といった相手の心が見えてくるから、「遠慮しなくて大丈夫だよ」「頼ってくれたら、うれしいな」などと、本心を引き出す関わりができるのです。

「どういう気持ちなんだろう?」という相手への温かい関心は、自分の未来を開く、何よりのポイント。相手の表情や雰囲気から、心にある思いを察することができるから、言葉や態度にのまれずに済みます。掛ける言葉も、縁が深まるものになるのです。

思い込み、先入観、自分本位な感じ方…。“逆”スキャンには要注意。人とのつながりを狭く、細めてしまいます。神の教えが運んでくれるのが、豊かな感じ方、その芽吹き。そこに、スキャンの精度はぐんぐん上がっていきます。食事をするにも、仕事をするにも、「健康を考えて作ってくれた。ありがたい」「余裕がなさそうだな。手伝おう」「バツが悪いのかも。自分から歩み寄ろう」。見えなかったものがどんどん見えてきて、どんな出会いも確実に生かせるように、きっとなれます。

「心のスキャン」機能とは、相手の思いを感じ取る、勘の良さ。必ず、温かい人間関係を築けます。いつでも、どこでも、誰とでも、調和できる、品性の高い自分になっていけるのです。そこに、周囲に良い影響を与え、徳が積めます。「得徳(えとく)」がかなうのです。

万人・万物と
  正しく関わりを深めて 人間は
      悔いなき人生を歩み抜ける

(令和6年9月1日 信者心の道勉強会『友輪』343号4ページ)