[実践ポイント]“違い”を楽しむ人になる

「調和」――神の教えに数多く出てくる言葉の一つです。一般的に使われる「調和」を調べてみると、複数の要素が、衝突することなく、全体として心地よい状態である、といった意味です。身近な例を挙げるなら、異なる音色を発する楽器が、一つの曲を奏でるオーケストラ。そのハーモニーは、「どれ一つ欠けても成り立たない!」と思うほど見事です。では、この「調和」を、“異なる価値観の人”と成り立たせるにはどうしたら…? 今月は、そのヒントを探ってみましょう。

こんな話があります。常に仕事が遅れがちで、ある時、仲間まで残業に巻き込んだ後輩。「どうしてもっと早くしないんだ!」と厳しく叱責した先輩は、同僚から「彼はいつも丁寧で、信頼できる」と言われて大反省したそうです。さて、先輩は一体、どう関わればよかったのでしょう。

「何でも受け入れればいい」ということではありません。それでは「調和」ではなく“我慢大会”。無理を重ねていけば、ストレスがたまり、心は重く、よどんでしまいます。我慢も、衝突もしないために意識したいのは…。自分の感覚を一度置いて、「どうして遅れたの?」「何かあった?」と穏やかに尋ねてみることです。「締め切り重視」「効率が一番」「正確にミスなく」などなど、一人一人大事にしているものは違って当然。「以前ミスしたから、慎重にと考えて…」。相手の思いを聞くと、「そうか! それを大事にしてたんだ」と、“価値観の違い”が見えてきます。「その気持ちも分かる」と共感できたり、「次は持ち味を生かせる関わりを」と、温かい気持ちが湧いてきたりするでしょう。

人は誰も、感じ方や考え方が違うものです。「寡黙で地道にコツコツ」が得意な人と、「話好きで段取り上手」な人。きちょうめん、おおらか、スピーディー、根気強い…といった違いも、良さを生かし合えると、絶妙なハーモニーが生まれます。いろいろな“違い”を楽しみながら、日々、人との関わりを深めていきましょう。それぞれの個性が見えるほど、「そういうやり方もあるのか!」と刺激を受けたり、お互いの能力を生かして一つのことを成し遂げたり。
裏を返せば、気の合う人とだけ過ごす空間は、心地よくても、広がりに欠けるもの。勇気を出して一歩踏み出すところに、思わぬ自分の強みも発見できます。良さを引き出し、補い、支え合う関わりは、必ず実を結びます。神が“調和”の大切さを呼び掛けられるのは、それだけ人生を好転させる力があるからです。家庭で、職場で、近所付き合いで、一人一人の力を最高に発揮できるよう、楽しく調和していきましょう。

「人生」を指導する存在は
        我が「運命」と悟り
    「教え」に生きる信者を目指す
 世界が
  大きく調和を求めて
        動く今日(いま)
  「教え」に生きて
        変化にのまれず
   夢を心に抱(いだ)いて
    生きがい多い人生を歩み抜ける

令和7年8月1日 『友輪』345号22ページ