
高齢になった親が、「子供に迷惑を掛けたくない」と頼み事さえ遠慮する。子供が、「親が心配するから」と、つらい出来事を一人で抱え込む。一つ屋根の下に暮らしていても、寝食を共にするだけで、関わりが薄くなっている…。そうした「家庭」が、現代社会には多く見られるようです。
縁あって出会った男女が、婚姻届を提出し、新しい生活をスタートさせる。現代人は「家庭」の始まりをこう捉えます。しかし、それは表面的なもの。人間の都合で変えることなどできない、「人生の真理」を見落としてしまっています。
見失っている「家庭」の価値
人間に限らず、全ての生命に寿命があり、親から子へと、代々命をつないで生きています。そのように、誕生と終焉(しゅうえん)が脈々と繰り広げられる環境が、「家庭」です。つまり、「家庭」には、学校や職場など、他の環境ではなし得ない特別な役割があるのです。しかし、身近な環境ゆえに、その価値に目を向けることもなく、“掛け替えのない縁”という真実を見失っている人が多いのが現状です。社会が抱えるさまざまな問題の原因は、まさにそこにあると言えるでしょう。
ですから、「家族との正しい関わり」をつかんで実践するほど、人生は確実に好転します。それだけでなく、子や孫…と代を重ねるにつれ、生き方も高く引き上げられていきます。そうした「人生の仕組み」を、大山命は神示で表してくださっているのです。
あるべき姿を「立ち木」から
「家庭」のあるべき姿は、一本の「立ち木」をイメージすると、より鮮明に見えてきます。夫は家族を支える根、妻は心をつなぐ幹、子供は養分を受け取って伸びる枝、祖父母は温かく包む土です。「我が家は子供がいない」など、家庭ごとに家族構成は異なっても、その中での夫、妻、子といった立場に応じた役割を果たすことが大切です。これができると、例えば子供が反抗期を迎えても、その木は揺らぎません。根と幹がしっかりとつながっているからです。両親が気持ちを重ねて我が子の思いを受け止めるところに、子供の心も安定します。反対に、夫婦の心がバラバラで、全く意見が異なれば、子供は迷いを深め、どんどん不安定になってしまいます。
一人一人が家庭における自分の役割を意識して、温かく関わり合うことが、非常に重要です。「和のある家庭」か否かで、人生の幸、不幸が左右されていくからです。(次回に続く)
この記事は『心の旅路106』に掲載された内容を基に作成しています。